第二章 ◇ 幼なじみ

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憂鬱な気持ちのまま入学式は終わった。 里「ねぇ……仁。朝のきれいな子誰?」 あれから里穂は元気がなかった。 仁「ただの幼なじみ。里穂はなにも心配しなくていいからな?」 里「………ん」 里穂はそれっきり黙り込んでしまった。 気まずい沈黙が流れる……… 彩「仁くーんっ!一緒に帰ろ!」 沈黙を破ったのは彩だった。 仁「里穂と帰る」 俺は里穂の手を握った。 里穂も握り返してくれた。 彩「ねぇ里穂ちゃん。仁くんの恥ずかしい過去知ってる?」 彩は自慢するかのように次から次へと話し続けた。 里穂の表情はだんだん暗くなってくる。 仁「彩。うるさい」 俺は彩を避けて里穂の手を引いていった。 ―――――――――― 仁「悪い…………彩のことは気にすんな……?」 里「…………」 里穂は黙り込んでしまった。 仁「……里穂…」 俺は里穂を抱き寄せた。 里「……っははは……大丈夫だよ?…」 里穂は笑ったでもその笑顔は泣くのを我慢してる笑顔。 仁「……我慢すんなよ……」 里「…うっ………仁……」 里穂は泣き出した。 里「……ひっく……あたしバカ……だよね……小さい頃の仁を知ってるあの子にヤキモチ妬いちゃった………ははは」 仁「…ホントバカだよ……里穂は…」 俺は里穂のまぶたにキスをした。 涙の味はしょっぱかった。 里穂と唇を重ねた。 そのキスは 涙の味がした……… .
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