第四章 ◇ クリスマス

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仁「じゃあ、また明日な」 彩「うんっ!ばいばい」 彩が笑顔で手をふってきた。 俺は少しだけ微笑んだ。 いつまで続くかわからない償いの日々。 こんなこと考えてる俺はとても最悪だけど 彩といても里穂の顔が……笑顔が頭から離れずにいた。 ―――――――――― 次の日。 彩は最後のリハビリを行った。 彩「はぁ…何度やってもリハビリって結構キツいね」 病室に戻ってきた彩は言う。 仁「………おつかれ。今日までなんだから」 俺は笑顔を見せた。 彩「…仁くん……いつも無理して笑ってるよね……」 彩は寂しそうな顔をした。 彩「ねぇ……里穂ちゃんとは……別れたんでしょ…?」 彩が俺に問いかけてきた。 俺は何も言わずにただ頷いた。 彩「じゃあ………キスして」 彩は俺の袖を引っ張った。 迷った。 里穂を好きなのに彩にキスすること……… でも…償いだと思うと里穂を好きだとか関係ない…… それに―――里穂とは別れたんだ…。 俺は彩にキスをした。 ガタッ……… キスをしたまま病室のドアの方を見ると花束を持った里穂がたってた。 俺は瞬時に彩の唇から自分の唇を離した。 里「……あ…ご…ごめんなさい……のぞくつもりなんてなかったの…………あの……こ…れ………彩さんのお友達から……そっ…それじゃあ……私はこれで…っ」 病室を出て行くとき里穂は泣いているのが見えた。 仁「里穂っ………」 俺は追いかけようとした自分を止めた。 彩「…追いかけないの?」 仁「………っ」 彩「仁くん……追いかけてきてよ―――――…」 思いもよらない彩の言葉に俺は顔をあげた。 彩「………里穂ちゃんのこと……まだ好きなんでしょ…?なら…あたしはもう大丈夫だから……追いかけてきてよ………無理して笑ってる仁くん見るのは辛いよ………あたしはもう…大丈夫だから』 彩は笑顔でいった。 仁「……彩…ごめん」 俺は病室を出ようとした。 彩「仁くんっ!ばいばい!」 彩はいつものように笑顔で手をふってきた。 俺も笑顔を返した。 里穂を追いかけた。 やっと一緒にいられる……… そう思いながら。 .
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