第七章 ◆ 道

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入院三日目。 俺は中庭を散歩していた。 足元にボールが転がってきた。 「すいませーん!ボール取ってもらえますか?」 ボールが転がってきた方にボールを投げる。 するとそこにいた女の人が俺に近寄ってきた。 「すいません!あたし毎日子供たちと一緒にボールで遊んでるんです」 彼女は満面の笑みで話かけてきた。 その笑顔はとても明るく里穂に似ていた………… ってなんでまた里穂のこと考えてるんだよ―――――… 「立って話すのもなんだし座りませんか?」 俺たちは近くのベンチに座った。 「いつから入院してるんですか?」 仁「三日前から…貧血で」 「そうなんですか………あたしはもう二年になります」 彼女は空を見ながら言った。 その顔は切なそうだった。 「癌なんです」 俺はただ聞いていることしかできなかった。 「すみますん。こんなしんみりした話なんていやですよね。あっそういえば自己してませんでしたねっ!!」 さっきまでの切なそうな顔は嘘だったかのように笑顔で言った。 「あたし堀口要って言います。ちなみに年は22です!」 仁「同い年だ……」 要「本当!?じゃあ普通に話ても大丈夫だよね?」 仁「うん。俺、相川仁。仁でいいよ」 要「わかった!じゃああたしも要で!」 要は満面の笑みで言った。 これが……要との出会い。 .
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