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要「好きな人が……いるんでしょ…?」
仁「……あぁ」
俺は頷いた。
要は気づいていたらしい。
要「その子は今どこにいるの?……付き合ってるの?」
仁「……東京にいる…………昔付き合ってたんだ…」
要は何かを考えるかのようにしばらくの間黙り込んだ。
要「じゃあさ……あたしがそれを忘れさせる………だから…付き合って…」
要は俺に抱きついてきた。
仁「…要………ごめん…お前は大切な友達だから傷つけたくない」
要「やだ……っ」
俺が要を離そうとしても要は離れなかった。
仁「要……っ」
要「あたし……っあと1ヶ月しか生きられないの…………っ」
要は泣きながらそう言った。
1ヶ月………?
1ヶ月後………要は死ぬ…?
要「……癌の進行が早くなってて…………長くて1ヶ月だって…本当なら外に出ちゃダメなの―……っ」
仁「…………っ」
何も言い返せなくなってしまった。
要「だから……そばにいてよっ……東京にいる元カノを…忘れるために利用していいから……あたしはっ…残りの1ヶ月………仁と過ごしたい…っ」
要は抱きしめる力を強くして泣きながら言った。
俺はなにも言えずにいた。
俺はどうする…?
あと1ヶ月しか生きられない要を見捨てる……?
そんなことできない…
今要には俺しかいないんだ………
里穂には……和樹がいる……
仁「………わかった」
俺は要の頭をなでた。
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