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「脈拍――」
「―先生っ」
いつものように要の病室に行くと医者や看護婦が慌てていた。
部屋にはわずかに動く心拍が途切れそうになりながらも音をたてていた。
要母「―先生っこの子はっ要は助かりますよねっ!?」
先生の袖を掴み要のお母さんが顔を曇らせながら言う。
《――――――ピ――――…》
「先生っ心拍停まりましたっ」
「みんな離れてっ」
ドンッ
《―――ピ―――――》
「戻りませんっ」
「もう一度っ離れてっ」
ドンッ
《―――――ピッ…ピッ…ピッ…ピッ》
「心拍戻りましたっ」
要母「要ぇっ先生っありがとうございますっ」
要のお母さんは泣きながら言う。
「お母さん………心拍は戻りましたが……今日がとうげでしょう…」
要母「………そっ……そんな………」
嬉しさもつかの間だった。
要の死はもうすぐ目の前にまできていた。
なにもできず立ち尽くす俺。
涙のひとつも流れなかった。
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