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放課後、俺はすっかり夕焼けが差し込む廊下を一人で歩いていた。
いつもなら最後の授業の終わりとともに速攻で帰っているはずだった…しかし…しかし…
あえて言おう。
寝てたと。
「なんで帝の奴、起こしてくれなかったんだ…」
今は亡き友人に文句を言いながらトボトボと靴を履きかえて外に出た。
そこで風亜はいつもと何か違う事に気がつく。
「……なんだ…あれ…」
グランドの隅、何やら長蛇の列ができているではないか。
なんだ…?この俺を差し置いて面白そうな事をやってやがるな?
風亜は何の列なのか確認しないままその列の1番後ろに並んだ。
さーて…先頭には何が待っているのやら…
俺の尖ったナイフよりも鋭い推理力で推理してみると…
周りは皆男ばかり…
帰ってくる奴らは何かに負けたように悔しそうだな…
これは…あれだな…腕相撲大会だな。
うん。そうに違いないだって俺の前に並んでる奴なんてごつすぎて前が見えん。
そうと決まればどんな奴が、このかつては机の下で錬金術で不正をしながら勝ち抜いていたあの錬金術師に生身で勝てるとまで噂された内藤風亜様を負かしてくれるのであろう…否!!俺は負けん!
最近、最終回を迎えた錬金術師の兄弟の話を思い返しているとどうやら列がかなり進んでいたらしく次は風亜の番となっていた。
よし…やってやろうじゃねぇか…
そう意気込んでばっと顔を上げるとそこには…
え?何?このシチュエーション…まるで…そう!
告 白 ! ?
夕焼けに染まる桜の木の下。
腕を後ろに組んで俺の言葉を待つ美少女。
くそ!明智め!謀ったな?!
今は亡き友人を何故か恨み、ゴクリと唾を飲み込む。
なんだ?この異様なまでの緊張感…これが、あの青い春の1ページ…告白だと言うのかぁぁぁぁあ?!
「あの早くしたらどうです?」
と風亜の横からそんな声が聞こえる。
よくみると正面にいる美少女の他に3人も女の子がいるではないか。
ま、関係ないか。
俺は息を吸い込み、一息でこう言った。
「ごめんなさい。今はお付き合いできません。」
あれ?俺がフっちまった!?
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