背水のジェンガ

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この状況にはこの場にいる全員が息を飲んだ。 風亜でさえも。 例えるなら… 凍 て つ く 波 動 ! いや~俺って魔法唱える事ができたんだねぇ~… 妙な沈黙がこの桜の木の下を支配する。 最初に耐え切れなくなったのは風亜。 「き、気にするな!な、なんかいいことあるって!」 何故か励ましていました俺ってば。 そして次に俺が取るコマンドは… にげる にげる にげる にげる おぉう…一択か。よろしい。 ダッ!! 風亜はかの有名なRPGの如く後ろを向いて走り出した。 敵前逃亡? はっ!これは名誉の逃亡さ。 こうしないと俺が死んでしまう。 その後、風亜はどうやって家についたかは覚えていないという。 「風亜兄ぃ!ご飯!!」 「嗚呼、妹よ。俺は今、来月の予定表作りで忙しいんだ…」 「またそんなサボり表作って……いらないなら夏樹が全部食べよっと♪」 そう言って軽いステップで階段を降りていく我が妹。 あれで本当に中二なのか? あ、そうそう…じゃあ…予定表と両親…どっちの事聞きたい? もうご飯らしいからどっちかだけだよ? え?両親? 説明しよう! 今、我輩が作っているこの予定表は我輩の我輩による我輩のための予定表なのだ! 緻密な計算によりぎりぎり、限界まで休んでもいい日数をたたき出し、予定表に書き込む。 一ヶ月あたり休んでも大丈夫な日にちを計算しておけば特に留年することなくサボることができるのだ! 何?ヘタレだと? 俺はこの予定表を作るために去年、一年を棒に振ったんだ!これくらい許してくれよぉ。 誰に訴えかける訳でもなく風亜は一人腕を組んで思考していた。 「よし。飯にするか…」 どうせ今朝俺が置いてきぼりにした豚キムチが俺を待っているんだろうがな…。
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