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ジェンガ――…それは
同サイズの直方体のパーツを組んで作ったタワーから崩さないように注意しながら片手で一片を抜き取り、最上段に積みあげる動作を交代で行うテーブルゲーム。
おもにパーティーゲームとして利用されている。
そんなスリリングなゲームを背水の陣で挑むとどれ程の緊張感が得られるだろうか…
例えば…そうだな。
顔にいくつもの傷が入ったいかつい借金取りの兄ちゃんと借金を賭けてのジェンガをしたらこれこそ背水のジェンガではないだろうか…?
想像してみてほしい…
「おら…次はあんちゃんの番だ…」
借金取りの兄ちゃんが律儀に片手だけを使い直方体のパーツを抜き取りタワーな上に乗せる。
勝負は終盤戦へと縺れ込んでおり、タワーはぐらぐらと安定しない。
下手すれば次の自分の番で勝負がつくだろう…
ゴクリ…
そんな唾を飲む音ででもタワーは倒れそうなほど不安定だ。
恐る恐る俺はタワーに手を伸ばす。
そして狙いを定めてタワーに触れた刹那、
ガッシャーン!
俺の中の何かと共にタワーは無惨にも崩れ落ちた。
そ、そんな…
そして崩れたタワーの後に残るのは借金取りの兄ちゃんの嫌な笑み。
「さて、約束通りわしらが貸した1億5千万は返してもらうでぇ?今日までに。」
「ちょっ…そんなに借りた覚えは…」
「あぁん?文句あるなら事務所でたっぷり聞いたるがな。ほな、行くで?」
そう言って兄ちゃんに引きずられて行く俺。
嗚呼…なんて悲惨なんだろうか…。
「なんだ夢か。」
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