背水のジェンガ

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「そういえば、昔読んだ〇のカービィの漫画でデデデ大王が消しゴムを買い占めて大変な事になったって話があったよなぁ…やっぱり消しゴムは大事にしないと…」 昔、友達の家で読んだ漫画を思いだしながら風亜は教室から真下の中庭に来た。 そして消しゴムを捜すべく曲がり角を曲った瞬間。 甘酸っぱい青い春の1ページに遭遇した。 せいしゅんがあらわれた! たたかう まほう アイテム にげる 「逃げちゃだめだ…逃げちゃだめだ…」 そう小声で自分に言い聞かせ息を潜める。 逃げる気なんてさらさらありませんが何か? 「あ、あのっ!こんな所にいきなり呼び出してすみませんっ」 「え、あぁ…うん。それで話って…?」 あぁ…もう、まどろっこしいなぁ、ささっと言えばいいのに…ってか俺の消しゴムは? そう思い風亜はそろ~っと曲がり角から顔を出す。 なるほど…あのリボンの色は一年か。若いねぇ… …っていた。俺のマイハニー… 一年生の間で仁王立ちしてやがる…やばいぜ…ハニーにスリーブしてないから砂まみれだ…あれじゃあ消しゴムとしての機能が… 「そ、それで…あの、私…あなたのことが――…好きですっ!」 そんな風亜の葛藤とは裏腹に青い春の1ページはドンドンめくられて行く。 「…片岡…ごめん。実は俺、佐藤の事が好きなんだ。だから…お前とは付き合えない…」 「あっ…」 そう言って立ち去る男子生徒。 それを聞いて一歩前に出た女子生徒… そしてそこには風亜のハニー(消しゴム)が仁王立ちしている訳で… 「………」 その場にしばらく立ち尽くす女子生徒。 がっつり踏まれる風亜のハニー(消しゴム)。 やめてーハニーのライフはもうゼロよー! 風亜の悲痛の叫びが届いたのか授業開始の鐘が鳴り、女子生徒は立ち去った。 中庭に残るは砂まみれの消しゴムと風亜。 「……俺が不甲斐ないばっかりに…」 その後、帝の提案で消しゴムを水で洗って事なきを得たという。
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