背水のジェンガ

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「…………いいんですか?」 暫くの沈黙の後、その女子生徒は呟くように言った。 「あ、あぁ…いいとも!是非召し上がって下さい。」 そう言って本日の昼食を差し出す風亜。 女子生徒が恐る恐るあんぱんと牛乳を受け取った刹那、 ぐぅ…… と不細工な音を立てて俺の腹が鳴った。 鳴くのなら 可愛くなこうぜ? 俺の腹 内藤風亜、心の俳句。 「え、えと…やっぱりこれは…」 女子生徒はあたふたしながらあんぱんと牛乳をさ迷わせている。 何て言うか…可愛いなぁー おじさんそれだけでお腹いっぱいですたい。 「……じゃあ、半分こということで。」 やはり可愛さだけではお腹は満たされませんでした。 「あの…これは…」 風亜があんぱんの袋を開けてパンを半分にちぎって女子生徒に渡した後に牛乳をかかげて女子生徒が問い掛けてきた。 あー女子生徒ってめんどいな。 「あ、俺は内藤風亜。フアは風に白亜期の亜って漢字ね。」 こうすれば…自ずと相手の名前も… 「はい。では…内藤さん…牛乳はどうすれば…」 おぉう…自己紹介し返さない系の人でしたか。失敬、失敬。 「実は…俺、腸が超弱いんだ…」 「……へっ?!」 「だから…牛乳なんてもん飲んでしまったら…悲惨なことに…」 なりませんが… 「そ、そうなんですか…大変なんですね…」 信じちゃったよこの娘。 スッゲー俺。 詐欺師かなんかになれるんじゃね? 「でもそれならなんで牛乳なんか持ってるんですか…?」 そう切り返すか。なかなかのやり手とお見受けするな。 「実は――…」 「あっ、内藤さん。どうして私が失恋したって知ってたんですかっ?」 「んっ?えっと…」 かなり話が急展開したことに俺はついていけなかった。 「私、びっくりしちゃいましたよ。いきなり声をかけられたと思ったら失恋チンゲンサイなんて言われたんですから…」 言ってないっ!そんなこと言ってなくなくないっ?!
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