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そう言って、ランテは少年に一冊のノートを見せる。分厚いそのノートには、複雑な式や、ウィズ国語単語、図形が並んで居る。
最初は、何が書いてあるか分からなかった。しかし、少年にも最低限の知識はある。
……あるページに、目の絵と、『金』を意味する単語、そして『セイレル』を意味する単語が書いてあるのを見つけた。
「これ……僕の目……?」
「……あぁ、俺が研究してる『精霊眼(セイレル・アイズ)存在説』を立証する為のノートだ。
……まだ誰も信じてくれないけどな。」
「『精霊眼(セイレル・アイズ)』……。」
ランテは適当な瓦礫に腰掛ける。
もう、嫌われるのは覚悟の上だ。だが、もしうまく行けば、この少年の為になる。
「今まで、金色の眼……『精霊眼(セイレル・アイズ)』を持って生まれたヒトはな、お前以外にも居るんだ。
皆……、蔑まれて奴隷身分におとされたり、目を失明させられたり、酷い例では殺されたんだ。」
「うん、分かる……。
僕も殺されかけたんだ。」
そうか、とランテは短く言って少年を見た。
やっぱり怖がっている。怖がらせないと言ったのに、怖がらせてしまい……ランテは胸が痛んだ。
「でも……、おかしいだろ?
眼の色が金色なだけで差別されるなんて、そう疑問を持ったら、『何も無い所で喋って気味が悪い、どこかがおかしいヒトだからだ』って聞いたんだ。
……だったらどこがおかしいんだ、何が見えるんだって、色々調べて、
そしたらセイレルが見えてるっていう仮定に至ったんだ。」
「何で……、ランテさんは『この眼』を研究するの……?
最初から『この眼』が気持ち悪くなかったの……?」
少年が首を傾げて、そう尋ねるとランテはボサボサの髪をかき上げた。
すると……、尖った耳が現れる。
明らかに、普通のヒトには無い特徴だ。
「先に後の質問から答えるとな、俺も気味悪がられてるからなんだわ。
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