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「ランテさん……、僕。ここじゃ生きていけないと思う……。お父さんとお母さんも、多分迎えに来てくれない。
……だから、ランテさんの研究、手伝わせてよ……。
頑張って何でもするから……!」
「……!
そっか……、頑張ってくれるか……。
よし、目茶苦茶遠いが研究所に住ませてやるよ。部屋なら空きまくってるしな!」
ランテが少年の頭をわしわしと撫でる。
少年も何だか嬉しそうだ。
「ただな、本当に目茶苦茶遠いんだよ。
だから、結構長い旅路になるぞ?」
「うん!でも……研究所ってどこ……?」
ランテは、少し言いにくそうだった。
それもその筈……、ランテの研究所があるのは、王都ホワイティア。
少年の両親が逃げた先だ。
だが……、黙っていてもやがてはバレる。それならば……。
「王都だ。
そこで、お前の噂を聞いた……。
両親がいるらしいけど……やっぱり来たくない??」
一気に来る気を無くしただろうとランテは思ったが、少年は首を振った。
「ランテさんが、僕の眼の事、皆に教えたらね。きっとお父さんもお母さんも会いに来てくれると思う。」
「あ、むしろ好都合か!
なら問題ないな。
……一緒に旅するんだからな、お前とか呼ぶのは問題か……?
確か、お前は……。
あ、そうだ。『あいつ』はケミールって呼んでたな。
ケミールって名前なのか?お前。」
少年は首を傾げたが、
その後すぐに頷いた。
「うん、僕はケミールっていうんだ。
でも何で……?『あいつ』って??」
再び首を傾げるケミールに、ランテは握っていた小さな袋を手渡す。
「……ごめんな?
お前の友達、ちょっと反省中。」
目をぱちぱちさせて、ケミールは袋を受け取った。瞳を光らせて、袋を見ると、雷霊狼(リウギ)が何だか悄気ていた。
瞳を光らせたまま、ケミールがランテを見ると、腕に『何かに噛み付かれた上に電気を流された跡』があった。
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