遠き道のり、目覚める力。

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「まぁ待て。 そこのガキを渡せ、そいつぐらいしか価値はなさそうだからな??  坊ちゃ~~ん、きれーな紫の髪してるね~~?こっちにおいでー。もっとよく見せてごらーーん?」 ケミールは怯えてランテの側から離れようとしない。賊の首領も短気らしく痺れを切らす。 「そうか~~、嫌かぁ~~。  オジサン残念だなぁ?  ……おい、あのガキ捕まえろ。オッサンの方は好きにしろ、殺すなりなんなりな。」 「へいっ!」 賊が一斉に襲いかかる。 思ったより数が多く、ランテは舌打ちする。 「……外道が。」 ランテは突っ込んで来る賊の集団にクローを向ける。クローに赤い光が収束し、辺りが高熱に包まれる。 「!?」 「ケミール、下がってろ……。 ちと危ないぞ……。 ……炎の子よ、 その力、赤き砲弾とし、 我が敵に打ち出さん……。 第5級赤術。 精霊火(セイレーンフレア)!!」 ランテのクローから火球が撃ち出され、賊の集団に直撃する!! 火球の後を追うように、ランテは動揺する集団へ突っ込み、近くの数人を斬り倒した。 「こっから先には行かせねぇっ!!」 ランテはそう叫びながら、襲い来る賊を、次々蹴散らしていった。 ……………。 後ろに残されたケミールは、不安げにランテを見守る。 あんな集団を相手に……、たった一人で立ち向かって行くランテ。 これも……全て自分の為だと、ケミールは分かっていた。 ……分かっていたから、辛かった。 自分に力が無い事が。 「………っ。」 そっと、鞄の中の『檻』に手を掛ける。 雷霊狼(リウギ)を出せば、もしかしたらランテを助けられるかもしれないと……、 しかし、それはためらわれた。 また……雷霊狼(リウギ)の力でヒトを殺すのか?また、エデリアでした事と同じ事をするのか……? そう思って、鞄に再び『檻』をしまいこみ、両手を合わせて祈る。 分かっている、ヒト殺しの自分の祈りなど神様に届かぬ事を。 だけれども、祈らずにはいられない。 金属がぶつかる音が聞こえる、悲鳴が聞こえる、雄叫びが聞こえる。 ……そんな中、声が聞こえる……。
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