..Chapter001,

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   学校から家までは、バスで40分。わたしは毎日同じ時間のバスに乗り、同じ座席に座り、同じ景色をただぼんやりと眺めていた。みんな電車か自転車かだ。たまにお抱え運転手つきの高級車なんて子も居るけど、バス通学なんてしているのはわたしくらいだろう。  夕方のこんな時間にバスを利用するのは、わたしだけだった。中学の授業が終わるのは帰宅ラッシュからも、停留所がある公立高校の授業が終わる時間からもズレていて、家に帰りつくまでに誰も乗ってこない、なんてこともザラだった。おかげで、いつもこのバスを運転している初老の運転手とは顔見知りになった。    
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