..Chapter001,

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  「俺、そこの学校の一年なんだ。山原彰、サッカー部」 「は、はあ……」 「突然で悪いんだけど、君に一目惚れしてずっと探してた。今日は腹痛くて部活休んでこのバス乗ったんだけど、うわー、まさか、結ちゃんに会えるなんて!」  山原くん、と言った男の子はにっこり笑って、一人でぎゃーぎゃー喋っていたけれど、わたしの頭は混乱していた。知らない人に、一目惚れしたから探していた、と言われたこと。その人はわたしの名前と学年を知っていたこと。壁のボタンを押しそうになるのをぐっと堪えて(押したところでただバスが止まるだけなのはわかってるけど)、わたしは聞いた。 「なんでわたしを知っているんですか?」 「君のことが好きだから」 「……いえ、答えになっていませんから……」 「一目惚れしたんだ。君が好きなの。ねえ、俺と付き合ってよ」  
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