..Chapter001,

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   お母さんは笑いながら、キッチンの方へと消えていく。  毎日言われていた。遊んでいいのよ、出かけていらっしゃいよ、って。それが辛くて、それが哀しかった。  附属高校へは、学校が定める成績をとり、既定の日数の出席があれば試験や面接もなく進めるから、みーんな遊び呆けていた。よその高校へ進む子たちはクラスに3人も居れば多い方で、当たり前にみんなそのまま進学する。お母さんが遊んでもいいと、そう言うのは当然だった。労わってくれているお母さんに、友達が居ないから遊びに行かないし、出かけるアテもないなんて、言えなかったのだ。  
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