..Chapter002,

5/16
前へ
/68ページ
次へ
  「……騒がしいわね。そんなに騒がれると、アタシとっても頭が痛くなるの。静かにして下さらないかしら」 「遥……! きて、たんだ……」 「ええ。もう卒業式まで来るつもりはなかったんだけど、先生がね。高校受験のことで話もあるから、顔くらい見せに来なさいと仰ったから来たのよ」 「そ、そうなんだ……」  一人の子が、引き攣った笑顔を見せながら黒板の写真をむしりとった。  元々細かった安西さんはさらに細くなり、長かった髪は肩のあたりでばっさり切られ、重めのボブヘアになっていた。彼女が動く度、髪はけだるそうにゆさゆさと揺れている。大きな目の周りは落ち窪んでくまができ、校則違反の厚化粧でも、それはごまかせていなかった。 「みんなお久しぶりね、元気だったかしら。ところで、アヤは今何を隠したのかしら。見せて頂戴」  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加