..Chapter002,

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   安西さんは写真を乱暴に奪い取ると、大きな目をまるくして、顔色のよくなかったその顔をさらに青くして、震えながら、吐息とも悲鳴ともとれない奇妙な声を出した。わたしは今、この場所から逃げ出したかった。なんだか、とても大変なことに巻き込まれてしまった気がした。 「へえ、仁科さん。カレシが居たのね」 「う、うん……」 「いつから付き合ってるのかしら。校則違反はいけないわ。10月3日かしら。彼、かっこいいじゃない。確か、西高よね、彼。山原彰くん」 「……付き合ったのは11月だよ。11月25日……」 「へぇ……。アタシ、好きな人が居るから、ってふられたのに、仁科だったんだ。その、好きな人、って……」  
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