..Chapter002,

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   安西さんは言い終わると、笑いながらわたしと突き飛ばした。不意につかれて体勢を崩したわたしはそのまま教卓の角で頭を打ち、床に倒れこんだ。  誰も、その場を動かない。まるで、時が止まってしまったかのように。ただ一人、安西さんだけが肩ではあはあ息をしながら、怯えるわたしを見下ろしていた。 「アタシ、帰る」 「ハル……」 「心配しないで。明日からは、ちゃんと来るわ。来る気がなかったなんて、ウソ。来れなかっただけよ。今日は、今日だけは……もう一日、休ませて」  
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