..Chapter002,

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   これは愛情表現だと、彼はそう言った。わたしはその行為に元々の意味以外のことがあるなんて知らなかったし、躊躇う気持ちも当然あった。でも、わたしの心の隙間に、彼が口走った愛情表現という言葉が流れ込んできて、羞恥心と恐怖心は、あっというまに消し飛んだ。不安を消し去るには、何か別の感情を上書きするしかない。わたしは涙が溢れそうになるのを隠すように目を閉じて、いつもとは違う彼に、黙って身を任せていた。  
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