..Chapter002,

15/16
前へ
/68ページ
次へ
   わたしたちは確かな繋がりを得た代わりに、何か大切なものを失ったような気がする。それが何なのかは、わたしにはわからない。でもきっと、あまりいいものではないんだろうな。それだけは、わかるんだ。彰くんは頻りに好きだよ、愛しているよと呟いた。尋ねたのはわたしなのに、いざその言葉を与えられると、彼からわたしが遠ざかっていくような、そんな冷たい錯覚をおぼえた。わたしには、彼しかいないのに。  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加