..Chapter003,

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   わたしの不安は、予感は、あの子たちの囁きは、現実のものとなった。  朝、登校して個人ロッカーを開ければ、無惨なバレーシューズが入っていた。踵の部分が切り落とされ、中には大量の画鋲が入れられていた。ウチの学校にそんなことをする荒んだ人間は居ないという学校の方針から、ロッカーに鍵はなかった。一緒に入れていたジャージもなくなっている。彰くんが貸してくれた漫画の中にあったイジメのシーンがそのままで、わたしはヘンに感動しながらも、これから何をされるのかを思うと、怖くてたまらなかった。  詳しい事情を知らない隣のクラスの女の子が、『校則違反の人だ』なんて言いながら眉間にシワを寄せながら友達とひそひそ言っている。視線が痛くて、画鋲を全部ゴミ箱に捨てて、少し考えてからスリッパみたいな上履きを履いた。  
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