..Chapter003,

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   それから、一日を無事に過ごした。何人かの先生に上履きを注意された以外は、特に何もなかった。わたしばっかりビクビクしていたのがなんだか滑稽で恥ずかしかった。安西さんは昨日のことなんか何もなかったみたいに、元気そうに友達とおしゃべりに興じていた。お昼だって、美味しそうなパンをふたつも食べていた。 「……ね、仁科さん」 「えっ」  帰りのホームルームが終わって担任が居なくなると、掃除当番にあたっていた安西さんがゴミ箱を手にわたしに話しかけて来た。すっかり安心しきっていたわたしの身体が硬直する。いやな汗が噴き出てくる。  
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