..Chapter003,

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  「……ねえ、彰と別れてくれないかな。彰を返して。彰は、アタシのなの……」 「わたしが彰くんと別れたら、彰くんはあなたのものになるの?」 「なによ、仁科のくせに……アタシ、あんただけは許さないからね。いい気にならないで……」  ゴミ箱を叩きつけて、安西さんは掃除をしないでそのまま帰って行った。遠巻きにわたしたちのやりとりを見ていた他の子たちも、クモの子を散らしたように帰っていく。髪に、肩に、腕にかかかったゴミを払い落としながら、脱力してわたしは泣いた。ただ好きなだけなのに。  
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