..Chapter004,

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   それからすぐに三学期ははじまり、わたしのクツはまた消えた。  安西さんはエクステをつけたのか、茶色いロングヘアになっていた。先生に注意されてもへっちゃらで、あの病的だった顔色が嘘のように、花のように明るい笑みを作っていた。 「仁科さん、おはよう」  安西さんに声をかけられて、君が悪くて悪寒が走る。 「挨拶してるのに無視なんてひどいわね。お、は、よ、う」 「……おはよう」 「ふふ。アタシね、感謝しているのよ、仁科さん。あなた、アタシとのことを山原くんに話したんだって? ぜーんぶ」 「……そうだよ」 「山原くんが家まで来たとき、びっくりしちゃった。何の話かと思ったら、あなたの話」 「学校でされたことを話したら、あなたと話をつけてくる、って……」 「山原くんも馬鹿よね。アタシ、話してわかる人間じゃないのに」  
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