..Chapter005,

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   それから三月まで、わたしはたまに欠席を挿みながらも学校へ通い続けた。卒業する頃には、元のわたしに戻りつつあった。あの楽しかった時間は、後味の悪い夢だったんだ。幸せな夢を見る元気くらい、わたしにもある。 「……あっれー、仁科さん、また同じクラスなんだね。仲よくしてよね、ゆーいちゃん」  高校の入学式の日。  クラス分けの表は非情にも、わたしと安西さんが同じクラスであることを示していた。わたしの後ろで、彼女は笑う。多分、飛びきり不敵な笑みを浮かべて。  
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