..Chapter005,

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   それからのことは、かなりすんなりと進んだ。  お父さんとお母さんが学校に話をつけにいったと聞いた。何がどうなったか、断片的にしかわからないけど。とりあえずお父さんは学校に調査やらをさせた上で事実確認を行い、学校側にいじめがあった、ということをさせたそうだった。わたしが傷つくから。と穏便に済ませることにしたと言うけど、「加害生徒にはなんらかの処分があるだろうな」とも言っていた。 「それでな、結の転校先だが、西高で問題ないね。公立高校だが、授業のカリキュラムにはなんの問題もないだろう。勉強なんてどこだってできる。結。西高でなら、黒女と大差もない」 「西高……」  彰くんの横顔が不意によぎって、口の中が苦くなる。  わたしは静かに首を振った。 「西高は……。わたし、東に行きたい。東高校。あそこなら、ウチから近いし」  高校のことなんかわからないから、わたしはとりあえず知っている高校の名前を挙げた。お父さんの顔が、あからさまに曇った。あそこの高校の評判は、わたしだって知っている。それから少し、後悔した。お父さんは、何も言わずに頷いてわたしの前に差し出してた西高のパンフレットをひっこめた。  
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