..Chapter000,

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   結局わたしは、両親の喜ぶ顔だけを励みに勉強を頑張って、お父さんの希望通りの中学へ合格した。地域で一番優秀で、一番学費が高いと言われる“お嬢様中学”に通っているけれど、幸せだとか、勝っただとかはこれっぽっちも思っていない。クラスメートの子たちは、公立中の制服を着た子たちがなにかやっかみを言ってきても、「私は黒女に通う勝ち組のお嬢様なのよ」なんて、満足げにえばっている。黒くてたくさんプリーツの入ったスカートは、彼女たちにとって誇りだった。黒とネイビーのストライプのリボンがどんなにダサいと言われても、みんなは得意げにスカートを翻し、胸を張って歩いている。  高笑いするクラスメートも、セーラー服着て公立の中学へ通う子たちも、わたしは羨ましかった。だって、みんな満足しているんでしょう? たった今を生きる、自分自身に。
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