プロローグ

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つまりは…生徒が登校すべき時間ではない、ということ。 けど、そんな閑散とした光景を目の当たりにしてもおれは焦ることなく、悠長に歩き続けた。 ………。 校門まで残り200メートル。 一度立ち尽くす。 朋也「はぁ」 ため息と共に空を仰ぐ。 その先に校門はあった。 誰が好んで、あんな場所に校門を据えたのか。 長い坂道が、悪夢のように延びていた。 声「はぁ」 別のため息。 俺のよりかは小さく、短かった。 隣を見てみる。 そこに同じように立ち尽くす女生徒がいた。 校章の色から、同じ三年生だとわかる。 けど、見慣れない顔だった。 短い髪が、肩のすぐ上で風にそよいでいる。 女の子「………」 今にも泣きだしそうな顔だった。
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