4月14日 (月)

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母を亡くしたショックでだろうか…残された父は堕落していった。 アルコールを絶やすことなく飲み続け、賭け事で暇を潰す生活。 少年時代の俺の暮らしは、そんな父との言い争いにより埋め尽くされた。 けど、ある事件をきっかけにその関係も変わってしまった。 俺に暴力を振るい、怪我を負わせたのだ。 その日以来、父親は感情を表に出さないようになった。 そして、俺の名を昔のように呼び捨てではなく、「朋也くん」とくん付けで呼び、言動に他人行儀を感じさせるようになった。 それはまさしく、他人同士になっていく過程だった。 まるで殻に閉じこもっていくように。 今と過去との接点を断ち切るように。 突き放すならまだ、よかったのに。 傷つけてくれるなら、まだ救われたのに。 なのに父は学校から帰ってきた俺の姿を見つけると、まるで旧友が訪れたように喜んで…そして世間話を始めるのだ。
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