思いこがれて

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「やぶくーん」 「おっ裕翔」 「今日は僕と一緒!」 「おーよろしくな」 「ふふーっ今日は楽しみだっ、なんたって薮くんと一緒だもん」 「えー?」 「薮くん大好きだもん!」 それはまだ、入所したてのころ 僕は薮くんが大好きで いつも薮くんがいればついてまわって 同じ空間にいれば目でおった 薮くんは僕のあこがれだった 二十歳になった今でも それはかわらない 変わったことと言えば あの頃より、気持ちを素直に言えなくなったこと 入所して時がたち 僕が少し大人になった頃 薮くんは僕より更に大人になっていて それは当たり前のことだけど、 少し大人に近づいた僕には 何だかそれがすごく遠くに感じるようになった 僕は薮くんに 近づくことはできない 大人になったつもりでいた僕のバカな考え 更にその考えに拍車かけたのは 隣にいる光くんの存在 二人があまりにも 輝いて見えたから この頃から二人の姿を見ると 何故だかモヤモヤして 会うたびに増すこのモヤモヤを 消し去りたくて、距離を置くようになった 大人のふりして 気持ちに気付かないふりをして、 あのとき昔みたいに 素直に話せていたら何かかわっていたのかな 「ねえ薮くん、、、?」 二十歳になった僕はあなたに 近付けていますか? 奇跡か偶然か、 同じグループになった僕らは 前より近い存在になった 一緒に肩を並べて 歌えるようになった 身長だっておいついた でも、何でかな こんなに近いのに もっともっと遠くなったきがするんだ 薮くんと一緒に居ない日々が 僕らの距離を遠くした あのとき 気持ちに正直にしていれば 素直に行動していたら 変な意地をはっていなければ あなたに気持ちを 伝えていたら こんなに遠くに 感じることはなかったのかな 近くて遠い それを理解できるようになった僕。 でも出来るなら 理解できないままでいたかった それでも 僕はいまだにあなたを思っています。 (大人になりたくて でもなりきれなくて)
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