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起こして貰ったことは素直にありがたいと感じる。
だがちょっと素直になれないちっぽけなプライドが、紗織の言いなりになるのを嫌がり、起き上がるのを渋ってしまう。
まぁ学校だからちゃんと起きますけど。
「眠い……」
そう言い、目を閉じ紗織に背を向け寝返ろうとした瞬間、俺の上半身は強烈な力で起き上げられた。
「はぁ?寝ぼけたこと言ってんじゃないわよっ!わざわざこんな超美少女のアタシがわざわざ素敵なシチュエーションで起こしに来てあげたのに……無視しようなんて良い度胸じゃない」
俺の胸ぐらをつかんで紗織がそんなことを言いやがる。
か……顔が近い。
確かに朝、隣に住む幼なじみに起こして貰うという点は素敵シチュエーションだと思うけど……
自分のこと美少女とか言っちゃうし、なんせ胸とか胸とかが可哀想だから魅力というものを全く感じない。
「声に出てるわよ……?」
「ハハハッ。素直なんだ俺」
「えぇ。だからアタシも素直に拳を振うわ」
紗織は本日一番の笑顔と、本日一発目の拳が俺の心と身体を貫いた。
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