序章

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「……………だよな……」 「…………え?」 「ーーいや、もしかしたらアンタがこの状況を説明してくれるかと思ったんだけどさ……やっぱわけわからねぇよな……」 顔を左右に揺らしながら初めて見る景色に戸惑うように周りを見ていた私へ、彼は苦い笑みを浮かべながら茶色の髪を掻き上げた。 ちょっと格好いい。 身長も高いし、お洒落だし、何より女受けが良さそうな整った顔。 ーー違う、そんな場合じゃない。 此処は合コン会場じゃないんだ。 「ねぇ此処は何処なの? 私学校に居た筈で、いやもしかしたら家で寝てたかもしれないんだけど、どっちにしてもこんな場所知らないし、見たこともない……」 私は床に座り込んだまま、目の前にしゃがみ込んでいる相手にそう問い掛けたけど、男の子は薄く笑いながら肩を竦めポツリと呟くと共に立ち上がり、それ以上の返事は返してくれなかった。 「さぁな…………」 .
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