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第1話パートA「ようこそ、生徒会へ!」
下村学園生徒会。―それは誰もが憧れ、誰もの目標だった。
入学式が終わり、いよいよ生徒会の再編纂が始まった。これは、このみんなの“憧れ”に入りたい生徒たちによる争奪戦である。会長、副会長、書記と会計が2人ずつのたった6つの枠に入るために。情け無用、しかし、紳士、および淑女的に争われるのである。
ーもちろん決め方はごく普通。みんな、自分の抱負を話して、推薦責任者による援護。その後、生徒による投票で決まる。会長と副会長は上位1名、書記と会計は上位2名のが選ばれる。ただ、実は先生、および理事長、その他学校関係者も投票するのが、下村学園生徒会投票の掟である。学校関係者、及びPTAが1人5票分、教師が10票分、理事長と学園長、及びその他高位置にいる人は20票分である。無論、これで逆転勝ちするケースも少なくはないのである。
ーある者は自分の存在をアピールし、ある者は抱負と共にこの学校を変えたいと主張する。また、ある者は色気で誘い、ある者は緊張のあまり気絶した。
そんな生徒会立候補者の演説も終わり、いよいよ投票の時。
「私は会長は潤ちゃんに入れるよ。」
「えー、米原さんの方がよくない?」
「じゃあ副会長は?」
そんな会話が聞こえる。色々な声が聞こえるが、やはり誰に投票するか、で悩んでいた。
「あら、珍しい。」
「どうしたの?」
「ほら、見てよ。」
「え?あー、うん、きっとやってみたかったんだよ。」
そこに書いてあるのは1年生ー俺の名前。
「会計だってさ。」
「なめてんの?マジムカつく。」
「でも面白そうかも。」
「生徒会をより良いものにする、か。何があったんだろうね。」
ー俺が立候補したのは過去のある記憶を濁すため。それにはいろんな人を巻き込んだ。いや、巻き込みたくなかった。俺は1人で抱え込めばそれでいいと思った。
「まあ、でも、ここはベテランさんにお願いしますか。」
それでもいい。俺は心の中でそう思った。
ー教師たちは俺のことどう見てくれてるんだろうか。
「ん、こいつは面白い。」
「ですね。1年生なのにしっかりしてます。」
「だが、本当に立候補するのか。いや、むしろできたことに栄誉を称えた方が。」
「それは…例の事件ですね。」
「…残酷だったなぁ…」
タイミング悪く、俺はその時、職員室の前にいた。そして逃げてきた。
ーその数日後、生徒会決定の号外新聞が配布された…
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