入学

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 それから担任の先生が教室に入ってくるまでの時間、どんな風に過ごしたかなんて覚えてない。  ただ、覚えてるのは泣きたい気持ちを抑えてたこと。今にも溢れ出しそうな涙を堪えてたこと。その二つだけだった。  長いながい入学式を終えて教室に戻った。ガヤガヤした教室を見渡せば、クラスの人達は既に新しい友達を作ってたり、同じ小学校の人と会話したりしていた。  そんな中私は、人見知りなせいでなかなか自分から話しかけることが出来なくて、一人ぼっちで自分の席にいた。 「相武さん!!」 『え・・・』  話しかけてくれたのは同じ小学校だった羽野美和(はのうみわ)。確か、さゆりと琴子と仲が良かった女の子だ。小学校のときは数回しか会話したことがなかったけど、確か良い子だったと思う。 『羽野さ・・・』 「美和でよかよ☆」 『じゃあ、私もちかでいいよ』 「宜しくね、ちか!!」  これが、私と美和が仲良くなったきっかけだった。美和が、入学して最初に仲良くなった友達となった。 『うん、宜しくね美和!』  私は、クラス内で新たな友達が出来たことに安堵感を抱いた。素直に喜んだ。嘉山によって抱いた不安なんて、このときにはとっくに消えていた。 「仲良い友達一人もおらんけ心配しとったけど、ちかが同じクラスで良かった!!」  笑顔で美和は私の手をにぎり、そう言った。私が男なら、確実にノックアウトされるこの笑顔・・・。可愛すぎる・・・。  美和も同じ思いしてたんだ・・・。私だけじゃなかったんだなぁ。  と、自分と同じ立場にいた人がいたことに喜んだ。 『私も・・・!美和と同じクラスで良かったー!!安心したぁ』 「ちかもぉ?」 『うん^^』 「そぉだったんだぁ・・・」 『でも美和がいたけ安心出来た☆』  そして私も、美和の手を握り返した。
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