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入学式から数日が経った。人見知りで、大人しい私には相変わらずクラス内では美和しか話せる友達がいなかった。
「ちかは部活入る?」
『うん、さゆとバスケ部に一緒に入ろうって約束しとるしね♪』
「へぇ。うちは・・・美術部入ろうかな?」
体験入部してみたけれど、バスケってだけあって活発な子達ばかりで・・・少し不安があった。でも、さゆがいるから大丈夫かな、なんて思ってた。
「ちかぁ!!」
『あ、さゆやんかぁ!』
「ねーねー、この前さ…ちかのクラスに井上麻李佳がおるって言いよったよね?」
『うん、おるけど・・』
井上麻李佳(いのうえまりか)。眼鏡かけてて、見た感じ秀才な大人しめな性格の女の子で、笑顔が特徴的な子だ。中学になるとともに、私の家の近所に引っ越ししてきたらしい。
「どうかしたの?」
「うちの妹がさ、井上さんの妹と同じクラスらしくて、話してみたいなと・・」
『そういうことね。ちょっと待ってて』
普段は人見知りで、人に話しかけれない私だけど、不思議と井上さんに話しかけることに抵抗はなかった。
『井上さん』
「え・・・?」
私は、読書をしていた井上さんの側により、声をかけた。井上さんは少し躊躇いがちに
「何か用ですか・・・?」
と返してくる。様子を見る限りだと、結構挙動不審。まぁ・・・いきなり話しかけられればこんなものかな?
『えっとね・・・私の友達が、井上さんと会話したいらしくてさ』
「はぁ・・・」
『ちょっとこっちきてくれる?』
そう私は言って、廊下の方へ行く。井上さんもさっきまで読んでいた本にしおりを挟み、私の後について廊下に出てきた。
「初めまして。小暮さゆりです♪」
「井上麻李佳です・・」
暗い自分が言うのもなんだけど・・・井上さんて結構暗いな、なんて思ってしまう。
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