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灯里へ
貴女がこれを読む時、私はこの世にはいないでしょう。
全てを打ち明ける前に私が死んだ時を考え、筆を取りました。
この手紙は読んでも読まなくてもかまいません。
懺悔という名の言い訳だからです。
私は人殺しです。数え切れない位多くの人の命を奪った、人殺しです。
全ては、両親が轢き逃げされて亡くなったあの日からでした。
父は即死。母は貴女を産み後を追うように。
私は犯人の顔も、車のナンバープレートも見ていて、証言しました。
当時住んでいた町の、町長の息子。
しかし、幼い子供では証言能力がなく、町長親子共に真面目な人格者で通っていた為、事件はうやむやにされてしまったのです。
『半端な宝石の子どもの喚く事など誰も信じない』
警察から帰る時、市長の息子が私に行った言葉です。
私と貴女は、近くの教会に引き取られました。
神父は、事件以降完全に孤立していた私に優しかった、唯一の味方でした。
日に日に募る哀しみと憎しみを抱えた私に、神父は言いました。
『この世界は理不尽な事ばかりです。何の罪もない者が苦しみ、悪者が蔓延る。
力が欲しいですか?』
後はもう分かると思います。
神父はBDの一人でした。そんな事知るよしもない無知な私は、憎しみのままにその手を血に染めたのです。町長の息子だけでなく、町長含め町の全員を。
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