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それからの私は、町を離れて貴女と二人で暮らしながら、夜に神父さんの指示を受けて市民宝石を襲い、原動力を奪う毎日でした。
自分は正しいと、信じて疑わなかった。正義を遂行しているのだと、誇りにさえ思っていました。
でも、ホントは分かっていたのかも知れません。
顔を隠し、黒ずくめの服に身を包み、返り血に染まる自分のどこが正義なのだと。
いつからか貴女に触れるのを躊躇う事が増え、私に向ける屈託のない笑顔に、胸が締め付けられました。
貴女が言った『強くなって姉さんを守る』の言葉が、嬉しかった。悲しかった。
私は神父を殺し貴女を連れて、父の故郷であるこの町へ逃げました。
今の町の皆は、半端な私にも優しくて温かいです。
もし灯里がいなかったら、私は多分人じゃなくなっていたでしょう。
罪と血に染まった私は、もう人でないかもしれないけれど。
だから私の死は、天罰か自業自得ですから、嘆く必要はありません。
優しく真っ直ぐに育ってくれた、私を慕ってくれた貴女に、沢山隠し事をしていてごめんなさい。
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