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田中近代工場店頭
「それでは」
水葉技術士官は背の高い女性に軽い程度の挨拶をした。
「ええ、楽しみにしてますわ……あ、士官」
「はい?何でしょうか橘さん」
「来週息子さんの誕生日でしたよね」
「……ん、ああ、そうだったかな」
水葉技術士官は頭を軽く掻きむしり考えていた。
「私が代わりに何かプレゼントしときますわ」
「い、いやそこまで……」
「良いんです、技術士官は職務を全うしてくだい」
橘と呼ばれた女性がニコリと微笑んだ。
「は、はぁ了解しました……それでは橘さん、社長にもよろしくお伝えください」
ええ、と言った感じで彼女は笑顔を見せた。
と、女性は田中近代工場の自動ドアを出て行った。
「来週だったか……な?
俺も用意するか」
機械のように仕事をする彼も一人の父親。
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