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「ねえ!名前なんて言うの?」
ああ…最悪だ
「私は美羽!よろしくね!!」
よりによって隣になるなんて…
「よ…よろしく…あは…あはは」
僕の隣には例の彼女が座っている
「ぷはっ。良かったな隣で」
風がかるく吹き出しながらそう言ってきた
僕は小声で返事をする
「おかしいって!!僕は新倉なのになんであいつが隣に…」
僕は思う。これは誰かの陰謀だ。
「ほら、席くっ付けちゃえよ!」
そう言って風は彼女と席をくっつけようとして来た
「や…やだよ!ああ、僕の高校生活は終わった…」
あまりのショックさに僕は頭を抱え込んだ
ちなみに風は渋谷さんの後ろ、つまり僕の斜め後ろの席だ
「ねーねー!ヒロ君って呼んでいいかな?」
そう言って渋谷さんは顔を近寄せてきた
うつぶせの状態のまま僕は言う
「断固拒否します」
「わー!ありがとうヒロ君!」
両手を合わせぴょんぴょんとび跳ねながら彼女はそう言った
一体どうやったらその巨体が宙に舞うのだろうか
「うわこいつ人の話聞いてない…しかも馴れ馴れしい…」
「ははっ。声に出てるぞお前」
「あ、ごめんつい…」
時々感情が声に出てしまうのが僕の悪い癖だった
まじめな顔で風は言う
「まあヒロ、人は見た目じゃないぜ?中身が大事なんだ。確かにあいつはデ・・ふくよかだが性格はいいんじゃないか?」
「今デブって言いかけたよね!?」
「言いがかりはよせ」
「うーん…じゃあ風が付き合えばいいじゃないか」
「ははっ、冗談はよせよ。俺は面食いだ」
「さりげなく最低な事言ったよね今」
今僕は風に激しくつっこみを入れてあげたい気分だった
はあ…これからどうすればいいんだろう
そんな事を考えているといきなり教室のドアが開いた。
「授業だ、席に着けー」
上下赤いジャージを着た中年のおじさんが入ってきた。
どうやらこのクラスの担任らしい
「私の名前は森田だ。よろしく」
腕を組みながらしゃべるその姿は熊のようだった
見た目も喋り方も怖い
優しい女の先生が良かったな…
「ということで皆には自己紹介をして貰うぞ」
何がということなのかわからないが、順番に自己紹介をすることになった。
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