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「寂しかったにゃー!」
アイが全力でこちらに駆け寄ってくる。
恐怖を感じた俺は、思わず回避しアイは後ろの壁に頭からぶちあたった。
「痛いにゃぁ……」
「すまん……。怖かった……」
「帰ってくるなら連絡ぐらい入れてくれても良いのに」
「驚かせようと思ってな」
「もう……。別にいいんだけどさ……。あ、そうだ。言ってなかったわね。お帰りなさい」
「ああ、ただいま」
「……」
裾を引っ張られる。
誰が引っ張っているのかと目をやると、不満そうなカオでフルが引っ張っていた。
「フル?どうかしたか?」
「……なんでもない」
フルは裾から手を離し、部屋へと向かっていった。
「ハンター?あんたフルに何かしたわけ?」
「いや、何がなんだか……」
「ご主人は乙女心が分かってないにゃ」
「え……?」
余計に意味が分からなくなった。
「ご主人は鈍感すぎるにゃ……」
「ほんとよね。今に始まったことじゃないけどさ」
「なんなんだよ一体……」
「私は別に気にしないけどさ。それより、ハンターは夕食食べたわけ?」
レイアの言葉で自分が空腹なことに気づく。
窓に目をやると、日はすっかり暮れておりいつもなら夕食を食べている時間帯なことに気づいた。
「その様子じゃ食べてないみたいね……。ほら、アイ。キッチンに行きましょう」
「了解にゃ」
二人はキッチンに向かい、部屋には俺だけが一人残された。
「孤独感」
風が吹きぬけた気がした。
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