371人が本棚に入れています
本棚に追加
「ママ、おそいね。」
「うん」
「おなか、すいたね。」
「うん」
「ねえ、かずき、」
「なに」
「ぼくたちさ…」
「…うん」
「すてられちゃった、のかなあ…っ」
「 うん…」
「ふぇ…っ、グズッ、ママ、っしょーたのこと、きらいになったんだ…っ」
しょうた、きづいてたんだ。
きっと、あたまいいから。きっと、ずっとまえから。きづいていたのに、
…がまんしてたのかな。
グズグズとないてる、しょうたのあたまをなでて、ぎゅってだきしめてるとるとスーツをきた、こがらおとこのひとがこっちにちかづいてきた。
「おー、君たち、どうしたんだ?こんな遅い時間に。パパとママは?」
「…すてられた」
「捨てられた?」
「うん、きっとおれたちがきもちわるい、から。」
「なんで?」
「え、?」
「可愛いじゃん。」
「え、これ、きもちわるくないの?」
「耳と尻尾?それ本物なの?触らして~」
にぎにぎとみみをさわられる。
お、ほんものだ、とそのひとは、とくにきにせずに、ふにゃりとわらった。
ちょ、このひと、あたまヤバイんじゃない?
.
最初のコメントを投稿しよう!