2.始まり

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 弁当を早々に食べ終えた夏実は、居づらいのもあって教室を出て行くと、廊下で健太と会った。 「よお、昨日はサンキュな」 「あ、待ってて、CD持ってきてるの」  教室に戻ろうとした夏実が立ち止まって振り向く。 「ここで待っててね」  健太に念を押して教室に戻ると、後ろのロッカーから健太から借りていたCDと、ミスチルのCDを取り出した。クラスはやけに静かで、背中に視線を感じた。 「おーい、夏実ぃ」  その時、廊下の窓から健太が顔を出して夏実を呼んだ。夏実はため息を吐いて、俯くようにして廊下へ出て健太にCDを渡した。  教室へ戻ると、女子たちの冷たい視線が一斉に向かう。特に、典子と香絵と舞の視線は怒りの滲んだものだった――。 .
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