221人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
弁当を早々に食べ終えた夏実は、居づらいのもあって教室を出て行くと、廊下で健太と会った。
「よお、昨日はサンキュな」
「あ、待ってて、CD持ってきてるの」
教室に戻ろうとした夏実が立ち止まって振り向く。
「ここで待っててね」
健太に念を押して教室に戻ると、後ろのロッカーから健太から借りていたCDと、ミスチルのCDを取り出した。クラスはやけに静かで、背中に視線を感じた。
「おーい、夏実ぃ」
その時、廊下の窓から健太が顔を出して夏実を呼んだ。夏実はため息を吐いて、俯くようにして廊下へ出て健太にCDを渡した。
教室へ戻ると、女子たちの冷たい視線が一斉に向かう。特に、典子と香絵と舞の視線は怒りの滲んだものだった――。
.
最初のコメントを投稿しよう!