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話題にされた本多舞(ほんだまい)が、典子の背後から現れた。
「違うって! 好きなんて言ってないよ!ーーちょっとカッコイイかも、って言っただけ」
夏実は唖然として、教室の隅で雑巾サッカーをしている真に目をやる。
「……でも、あの人ちょっと怖そうじゃない? さっきも、雑巾のボール当たりそうになったけど、何も言わずに行っちゃってさ」
「クラスの女子とは全然喋らないしね」
同意した香絵の前で舞がうっとりと笑む。
「そこが良いじゃん、軽くない感じでしょ?――あ、でも誤解しないでよ! 好きとかじゃないんだから」
典子と夏実が、ニヤニヤと横目で舞を見つめる。
「……ねぇ、夏実」
「ん?」
香絵は少し躊躇いがちに目を上げた。
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