唯一の憂鬱

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あれ程の突き、 ──避けるのは凄いが、繰り出すのも凄い。 そもそも西王は、あんなに速く動いて目にゴミとか入らないのだろうか。 入ったら痛そうだな、と僕は思ったが、よく見れば未だ透明な水のベールで自らを覆っていた。 どうやら、この水で異物が目に入るのを防いでいたらしい。 決闘の方は、西王が突きを放った後、体を滑らかに回転させ、流れるような動きで今度は蹴りを放った。 鳴神もなかなか遣り手で、体勢を低くしてこれを避ける。 その際、右腕に電気を溜め込む。 西王の足が完全に通過すると、鳴神は立ち上がるのと同時に右腕によるアッパーを放った。 西王は腕を交差させて防ぐ。 この瞬間、僕は勝負は決まったと思った。 なぜなら、電気を溜めた鳴神の右腕は、かするだけで強い電流が身体を駆け巡るからだ。
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