唯一の憂鬱

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闘技場に着くと、舞台の上で二人の生徒が対峙していた。 一人は五大貴族と呼ばれる鳴神家の末裔、 ナルカミ シデン 鳴神 紫電。 彼は、柔らかそうな金髪を風に靡かせ、怒気のこもった碧眼をもう一方に向けている。 視線の先にいるのは、絶世のイケメン。     セイオウ リュウ 名前は、西王 龍。 スラッとした長身は、筋肉により引き締り、多少細身に見えるが、見事に力強い体躯を作り上げていた。 近くにいた青い髪の少年が、「油断すんなよ!」と、呼び掛けていた。      ヒョウガエイジ 彼の名は、氷河栄司といって、西王の名が知られるまでは、この国一番の天才と呼ばれていた。 僕が密かに憧れている、ギルドランクSの超人だ。 「油断?する必要もねぇ」 西王は笑みを浮かべて、氷河に手を振っている。
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