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舘「いいから、俺と付き合えよ」
連れてこられたのは校舎裏、滅多に人が通らない場所だった。
私は壁を背にして、逃げ場を失っている。
薫「………嫌、です」
よくわからない恐怖のせいで、声が震える。
直後、私の顔を男の手が掠める。
舘「お前に拒否権はねぇの。お前は俺と付き合うんだよ」
もはや脅迫だった。だけど私は当然付き合うつもりはない。
薫「…絶対、嫌です…」
舘「こいつ…!調子に乗るな!」
男の手が振り上げられる。
私は思わず目を閉じた。
だけど、何の衝撃も来ない。
代わりに私の体に届いたのは、
秀「何してんですか、先輩?」
何故かとても安心できる、秀くんの声だった。
秀くんは男の手を振り上げた位置で止めていた。
舘「てめぇは確か、1年の蔵屋…」
秀「いやぁ、覚えててもらえたんですか。先輩のようなクズに覚えててもらっても困りますけどね」
うわぁ…、秀くんあからさまに挑発してるよ…。
舘「なめてんじゃねぇぞ!」
男はもう片方の手で、秀くんを殴ろうとする。
しかし、秀くんはそれを難無くかわした。
その結果
舘「いってぇっ!」
男は思い切り壁を殴った。なんてマヌケ…。
秀「危ないじゃないですか。いきなり殴らないでくださいよ」
舘「やろぉ、ふざけんな!」
男は秀くんの手を振りほどいて、また秀くんを思い切り殴ろうとする。
それに対し秀くんは、思い切りしゃがんだ。
その結果
秀「だから危ないって言ってるじゃないですか」
舘「痛って!1年の分際で!」
秀くんにつまずいて思い切りこけた。なんてダサい…。
その後も、男が殴り掛かる→秀くんがかわす→男が自滅する。
これを繰り返していた。
舘「クソが!覚えてろ!」
とうとう諦めた男が、情けなく帰って行った。
秀「あの台詞言う人、いたんですね…」
ツッコむ所、そこなんだね…。
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