薫SS

5/7
前へ
/36ページ
次へ
舘「いいから、俺と付き合えよ」 連れてこられたのは校舎裏、滅多に人が通らない場所だった。 私は壁を背にして、逃げ場を失っている。 薫「………嫌、です」 よくわからない恐怖のせいで、声が震える。 直後、私の顔を男の手が掠める。 舘「お前に拒否権はねぇの。お前は俺と付き合うんだよ」 もはや脅迫だった。だけど私は当然付き合うつもりはない。 薫「…絶対、嫌です…」 舘「こいつ…!調子に乗るな!」 男の手が振り上げられる。 私は思わず目を閉じた。 だけど、何の衝撃も来ない。 代わりに私の体に届いたのは、 秀「何してんですか、先輩?」 何故かとても安心できる、秀くんの声だった。 秀くんは男の手を振り上げた位置で止めていた。 舘「てめぇは確か、1年の蔵屋…」 秀「いやぁ、覚えててもらえたんですか。先輩のようなクズに覚えててもらっても困りますけどね」 うわぁ…、秀くんあからさまに挑発してるよ…。 舘「なめてんじゃねぇぞ!」 男はもう片方の手で、秀くんを殴ろうとする。 しかし、秀くんはそれを難無くかわした。 その結果 舘「いってぇっ!」 男は思い切り壁を殴った。なんてマヌケ…。 秀「危ないじゃないですか。いきなり殴らないでくださいよ」 舘「やろぉ、ふざけんな!」 男は秀くんの手を振りほどいて、また秀くんを思い切り殴ろうとする。 それに対し秀くんは、思い切りしゃがんだ。 その結果 秀「だから危ないって言ってるじゃないですか」 舘「痛って!1年の分際で!」 秀くんにつまずいて思い切りこけた。なんてダサい…。 その後も、男が殴り掛かる→秀くんがかわす→男が自滅する。 これを繰り返していた。 舘「クソが!覚えてろ!」 とうとう諦めた男が、情けなく帰って行った。 秀「あの台詞言う人、いたんですね…」 ツッコむ所、そこなんだね…。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加