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聡「じゃ、失礼します」
婆「ありがとうねぇ。こんな老人の相手してくれて」
夫婦に軽く会釈して入ってきた客の下へ向かう。
男「お、今日はいっぱいいるな」
聡「いらっしゃいませ。いつもの席ですね」
男「お、ありがとう」
この人もここの常連。40代半ばのサラリーマンだ。
男「んー、今日はコーヒーと娘さんのパンケーキをもらおうか」
聡「はい、コーヒーとパンケーキ、かしこまりました」
ふぅ、しかし敬語ってのは疲れるな。よく日常会話を敬語で出来るな、あいつは。
聡「オーダーっす。パンケーキとコーヒー」
真「了解だ」
元々真柳ちゃんがホール係だったんだが、何故か最近はオレの役目になっている。
そして真柳ちゃんは真柳ちゃんの母親と一緒に食器洗いや飲み物を担当している。食べ物を作るのは主に真柳ちゃんの父親の仕事だ。
普段お客は少ないからホールは一人で十分なのだが、裏に二人もいるのか?
薫「ちょっと聞いてよ聡くん!」
聡「はいはい何なんだ?」
いい加減慣れたけど、どうあっても『そうくん』って呼ぶのな。
薫「ちょっと前に秀くんとゲームしてたんだけど、秀くん一回も負けてくれないんだよ!?」
うわ…、どうでもいい…。
秀「そんなこと言ったって、あれ以上手加減しようがないですよ」
聡「何してたんだよ?」
秀「格ゲーです。俺がガードと弱パンチだけで」
聡「それは薫ちゃんが悪い」
薫「うぅ~…、味方が一人もいないんだよ…」
勝てる秀一も秀一だけど、負けられる薫ちゃんもすごいよな。どんだけ下手なんだよ。
卓「ちょっと聞いてよ聡君!」
聡「何だよ次から次へと」
卓「愛理がデレてくれない」
んなこと知るか。あまりのどうでもよさに返答に困るじゃねぇか。
愛「何よデレるって。訳わかんない」
卓「ほら~、ずっとこの調子でさ」
聡「自分でなんとかしてくれ。自分の彼女だろ」
卓「ケチ」
おい。何だケチって。オレが絶対正しいだろうが。自分の彼女くらい攻略しとけよ。
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