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紗稀さんが家に遊びに来た日、私は後悔した。
まさか、あんなものがお兄ちゃんの部屋にあるなんて…。それに、私は………。
秀「そうですか。まあ、下までは見送ります」
薫「ありがと、秀くん」
二人とも下に降りて行った。
ふと、私はお兄ちゃんの部屋の本棚が気になった。
愛「なんだろう、あれ」
誰もいない部屋で呟きながら、気になる物に近づく。
そういえば一度本棚に近づいてお兄ちゃんに少し怒られた事がある。『絶対俺のいない時に本棚に近づかないでください!』って、怒るというより、警告みたいだったけど。
お兄ちゃんも男の子だもんね。木を隠すなら森の中、本を隠すなら本棚の中って事ね。
フッフッフ…、やらしい物見つけてお兄ちゃんの弱みを握ってやる。
もはや確信を持って本棚に近づく。そして、見慣れない物を取り出す。
愛「…ファイル?」
出てきたのは何の変哲も無いファイルだった。
まさか…、盗撮写真!?どうしよう、お兄ちゃんが犯罪を犯してる!?
証拠を握って、お兄ちゃんにそんな事やめさせるようにしなきゃ!
何が出てきても良いように心の準備をしてファイルを開ける。
すると出てきたのは写真ではあったが、昔の思い出のようだった。
なぁんだ…、と拍子抜けしながら眺めていると、あることに気づいた。
私が、いない…?
写っている男の子はお兄ちゃんで間違いない。しかも見た目からして、私が産まれていてもおかしくない年齢になっている。
しかも、この男の人は誰だろう…?この女の人はお母さんで間違いない。でもお父さんはいない。
フッ、と私の頭にある仮説が思い浮かぶ。それと同時に階段を上がる音が聞こえた。
急いで写真を一枚抜き取りファイルを元の位置に戻す。
写真を隠すために適当にCDを取り、部屋を出る。すると、お兄ちゃんと鉢合わせした。
愛「あ、お兄ちゃん!ちょっとこのCD借りるわよ!」
適当に言い繕い自分の部屋に入った。
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