愛理SS

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お兄ちゃんが優しいのも、私が本当の妹じゃないからかもしれない。 義理の妹だから、優しくしてくれているのかもしれない。 いや、止めよう。今そのことを考えてしまえばまた泣いてしまう。またお兄ちゃんに心配かけてしまう。 部屋から出て、お兄ちゃんの部屋の前に行き、ノックする。 愛「お兄ちゃん、手伝って?」 今は少しでもお兄ちゃんと一緒にいたい。というか、一人でいると余計な事を考えてしまいそうだ。 静かにドアが開き、お兄ちゃんが出てくる。 愛「…ふにゃっ」 そして私の頭に手を乗せる。 お兄ちゃんを見ると、私の頭を2回、ポンポンと叩き少し笑って先に下に降りてしまった。 お兄ちゃんは時々何も言わずに、行動と表情だけで意思を伝えようとする。 たぶん今のは『あんまり無理すんなよ』って事だと思う。 いつも優しくて、私の味方のお兄ちゃん。私の自慢のお兄ちゃん。 今はそれでいい。義理だとかそうじゃないだとかは今は考えない。 私とお兄ちゃんは兄妹だし、これからもそれは変わらない。変えられない。 お父さんもお母さんもお兄ちゃんも教えてくれなかったって事は、私はまだ知るべきじゃなかったってこと。 皆が隠すなら、私は知らないふりをするだけ。打ち明けられた時に、知ってたって言えばいいだけ。 お兄ちゃんの後を追い下に降りる。 そして、一緒に夕飯を作っている時にある質問をしてみた。 愛「お兄ちゃん…」 秀「ん?何ですか?」 愛「私のこと、好き?」 秀「ッフガ、ゲホッ、ゲホッ!?な、何ですかいきなり!?」 珍しくお兄ちゃんがものすごく焦っている。 愛「…ううん、なんでもない」 今更何を質問してるんだろう。お兄ちゃんのシスコンっぷりを見ればわかりきってるじゃない。 愛「私も、お兄ちゃんのこと、好き、だから…」 私がそう言うと、またお兄ちゃんはむせてしまった。 周りから見ればバカっぽい兄妹。それでもいい。だから、ずっと仲良くしていこうね、お義兄ちゃん…。
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